1991年の湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦を指揮し、多国籍軍を勝利に導いた
米中央軍のノーマン・シュワルツコフ元司令官が死去した。享年78歳。
湾岸戦争が、もう20年以上も昔の話になってしまった・・・
パウエル参謀総長とシュワルツコフ
身長約190センチ、体重100キロ以上の大きな体と軽妙な話術が評判を呼んで、
国際的な知名度が飛躍的に高かった。しかもIQは170。
そして何より全身からみなぎる鋼鉄の意志。猛将であり知将だった。
1970年代、アメリカ軍(特に陸軍)はベトナム戦争終結(撤退)によって、
過去の栄光は地に落ち、プライドを喪失した。おまけに国内の反戦運動、
兵士のモラル低下という、軍事組織としての危機状況にあった。
(シュワルツコフは当時、ベトナムの最前線で闘い2度の戦闘で負傷している)
1970年代後半から1980年代、アメリカ軍は危機状態から脱却すべく
自らドラスティックな改革・革新を地道に続けてきた。
ドクトリンの修正、兵士のリクルート、教育システムの整備、そして兵器の刷新、
ロジスティックスの強化。これらは大胆かつ合理的・革新的な改革だった。
それらが実を結び始めた頃にソビエトが崩壊し、冷戦時代が終わった。
時を同じくして、イラクのフセインがクウェートに侵攻し湾岸戦争が勃発する。
アメリカ軍は対ソ連戦に備えてあった欧州駐留部隊まで動員し、ワンサイドゲームで勝利した。
栄光を取り戻した瞬間だった。
その時の司令官がノーマン・シュワルツコフ。
9.11同時多発テロ(2001年)、アフガン戦争(2001年〜)、イラク戦争(2003年)・・・
アメリカは、それから今に至るまで10年以上も戦争を続けている。
冷静に考えれば恐ろしいく国家だ。
シュワルツコフを思うと、ジョージ・パットン、ダグラス・マッカーサーを彷彿する。
人間は、懲りずに歴史を繰り返してしまう性(さが)なのだろうか・・・。