12月26日(土)紀伊國屋ホール。
芝居の内容はご想像にお任せします。
声量が無かったな〜 もったいない。
唯一、大山金太郎が熱海の砂浜でアイ子を殺害するシーン。
何故かここで涙が止まらなくなった。
「劇団つかこうへい事務所」のオリジナルメンバーでもなく、
つか芝居が初めての二人(愛原実花、中尾明慶)が演じるこのシーンで
一番「つか芝居らしさ」を感じたからかもしれない・・・
この点は演出家”いのうえひでのり”の腕か。
私にとってこの「熱海殺人事件」は、
劇団つかこうへい事務所の芝居、すなわち”音”の重要性を
追体験できた点で非常に大きな意味があった。
長谷川康夫著「つかこうへい正伝 1968-1982」にはこうある。
つかの芝居で何より重要なのは「音」であり、
「つか節」ともいえる台詞口調や劇中音楽も含めて、
芝居そのものがつかこうへいによる「語り芸」だ。
さらに
つかの”口立て”とは台詞をいったん、役者の肉体を通した「音」
として確認しながら、戯曲を立ち上げていく作業である。
その過程で異物が入り込めば、それは違うものになっていく。
相応しい”音”を発してくれない役者では、戯曲は正しく完成されないのだ。
今回の「熱海殺人事件」は
その”音”が一部不協和音となっていたのかもしれない・・・
また時代的な”音”の古さも実際に感じてしまった。
でも33年ぶりに「つか芝居」の音を聞けただけで満足だ。
芝居のラスト、木村伝兵衛部長刑事の決め台詞
「うん! いい火加減だ!」
の”音”は想像と違い意外な”音”だった・・・
この決め台詞とともにかかるのが
THE WHOの『Bargain』。これは耳の残るイイ曲だった。
これも演出”いのうえひでのり”の腕か・・・
以前のエンディングでは
エルビス・プレスリーの『Let It Be Me』が定番だったそうだ。
これはこれで熱海殺人事件のラストに相応しい。
できれば、もう一度観たい!