大手コンビニが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止する方針を発表し、
絶滅が危惧されているエロ本。そんな中、エロ本アーカイブというべき
立派な本が発売された。誰かが言っていたが、確かに業界本ではある。
なんとオビは石野卓球が書いている。
長年、出版業界に携わっていたので、エロ本絶滅危機に関しては、
ノスタルジックな面と雑誌マーケットのシュリンクという視点から
注視してしまう。週刊プレイボーイ(確か2019/5/13号)の記事が
この状況を非常に分かりやすいく分析している。
「大手コンビニ「販売中止」で絶滅の危機?
今、成人誌業界で何が起きているのか」以下、要約すると。
まずはエロ本の定義の整理から。大きく2つの種類がある。
・「類似図書(18歳未満には推奨できない)」コンビニでも販売できる
(コンビニ売りエロ本)
・「18禁雑誌」書店やアダルトショップなどで販売される(書店売りエロ本)
さらに分類すると
・コンビニ向けメーカー本:現在のエロ本の主流。メインは付録のDVD
・書店向けメーカー本:18禁マークあり。内容はハード。
・撮り下ろしハメ撮り本:現在は極めて少ない。コンビニ向けと書店向けがある。
・AV情報誌:80年代~90年代が全盛。現在は壊滅寸前。
・風俗情報誌:90年代に全盛。現在はネットにお株を奪われ壊滅状態
・マニア誌:少部数高価格。
・投稿写真誌:現在3誌が残るのみ。
・パンツ誌:00年代に全盛。
こうしてみると、現状のエロ本の主体は、AVメーカーが素材を提供して作られる
「コンビニ向けメーカー本」なのが分かる。今回の大手コンビニの「成人向け雑誌」
取扱い中止により、このマーケットが一気に消滅する。これは大変な打撃だ。
出版社、取次の売上にとっても影響は避けられない。
(書店ルートの主流である、大型書店、ショッピングモール内書店には
エロ本コーナーはない。街の書店は減少の一途であり、この面でもエロ本販売
の苦戦は避けられない)
週刊プレイボーイの記事はこう結ぶ
・エロ本はマニアのものになる
・全国の書店の数自体が急激に減少している現状からすると、未来が明るいとは言えない。
・エロ本にこだわり続ける編集者と読者がいる限り、
決してエロ本はなくならない――そう信じたい。
雑誌文化の一翼を担ってきたエロ本の前途は、残念ながら厳しい。
これもメディア、ネットの変遷からすればしょうがないことなのだろう。
最近は、昔の自動販売機や昭和ドライブインなどのようにノスタルジックな視点から
エロ本文化を取り上げる記事が多くなってきたようにも感じる。