Makotsu Garage

本と映像と音楽の記録(ガレージ)

アメージング・グレース

元旦の朝日新聞の記事が頭に焼きついてる。

「アメージング・グレース オバマが歌った ゆるす心」

昨年6月にサウスカロライナ州チャールストンで起こった

白人至上主義者による銃乱射事件で射殺された

牧師ら9人の追悼式でのことだった。



オバマ大統領は壇上に立ちスピーチを始めた。

途中、力強いスピーチが突然止まった。

沈黙が10秒ほど続いた。

オバマは演台で下を向いていた、

その直後、オバマは伴奏なしで歌い始めた。

Amazing grace!(how sweet the sound)



たちまち総立ちの大合唱になり、

天を見上げ、涙を流す人もいた。

ふだん冷静に振る舞う大統領が

この日は叫ぶように犠牲者の名前を

読み上げ続けた。



大統領は事件直後の遺族の行動から

この歌を選んだようだった。


追悼式の一週間前、出廷した容疑者に

遺族たちは一人ひとりモニター越しに

容疑者に語りかけた。

「あなたは私から大切な人を奪いました。

 もう母と話し、抱きしめることもできません。

 でも私はあなたをゆるします」

「私は自分がとても憤っていることを告白しますが、

 憎むことはありません。ゆるさねばなりません。

 あなたの魂のために私は祈ります」



讃美歌アメージング・グレースの作詞者は、

英国人のジョン・ニュートン奴隷貿易

長年携わった後に牧師になった。

歌詞中では、黒人奴隷貿易に関わったことに対する悔恨と、

それにも拘らず赦しを与えた神の愛に対する

感謝が歌われている。

 


新聞記事はこう結ぶ。

オバマ大統領の任期は残り1年。彼が掲げた”一つのアメリカ”

 の理想は、いまだ遠い。」