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独ソ戦 絶滅戦争の惨禍(岩波新書)

著者が「荻上チキsession-22」に出演していたので

本書が気になっていた。遅ればせながら購入し読了。

 

独ソ戦にの詳細を知るにつれ、従来の理解が書き替えられた。

それは地獄だ。ドイツとソ連のあいだで繰り広げられた

血で血を洗う皆殺しの闘争で、想像を絶する惨劇だ。

 

独ソ戦は、一般的にドイツ国防軍将官の回想録や戦記を通じて、

軍事的な背景や戦闘の経緯などがミリタリーファンに知られるが、

実情の多くはそこに書かれていない。そんなに生易しいものではなく、

ある意味ではホロコースト並ぶ惨劇であった。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

 

独ソ戦は「通常戦争」「収奪戦争」「絶滅戦争」この3つが重なり合って

遂行された複合的な戦争だった。戦争が進むにつれて後者(2つ)の色彩が

濃厚になり軍事的合理性は押しのけられた。その結果、膨大な人的被害を生んだ。

 

第二次大戦の人的被害を日本、ソ連、ドイツで比較してみると。(数値は本書より)

 日本 :戦闘員210万~230万人。非戦闘員55万~80万人。

 ソ連 :戦闘員866万~1140万人。民間人450万~1000万人。疫病・飢餓800万~900万人。

     ※ソ連崩壊後の情報公開で、死者総数が2000万人から2700万人に上方修正された。

 ドイツ:戦闘員444万~531万人。民間人150万~300万人。(独ソ戦以外も含む)

 

独ソ戦=「人類史上最大にして、もっとも血なまぐさい戦争(本書曰く)」を

あらためて再認識し、理解できた一冊であった。
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