ヒロミさんの思い出 その4(文責:IKUさん)
ヒロミさんが、就職が決まって下宿を引き上げることになった。
軽トラックに荷物を積んで、最後に一緒に呑んだ。
記憶が定かではないのですが、確か就職浪人したヒロミさん。
私の自宅から2分のアパートで3年間過ごしたことになります。
最後にアパートの前で別れる時、真顔になるのは恥ずかしいし、
深刻な顔は柄にあわない。
じゃあ元気で、と、普通に別れました。
降り始めた雪が、舞ってます。ああ、名残り雪というやつだな。
ヒロミさんのアパートから少し離れた場所に停めてあった
軽トラに真っ白な雪が積っている。
あれ、いつの間にか雪が、こんなに……。
シンと静まる深夜の街に、佇む軽トラをしばし見つめていました。
まさか、その後、一年で会社を辞めるとは、つゆにも思いませんでした。