今年最初に購入した書籍。
前から読みたかった本、奇しくもこの本の著者も
中川右介だった。
タイトルに「プロ野球」とあるが、この本には
長嶋も王もイチロー、大谷翔平などの名選手も、名監督も名勝負も
伝説の試合も一切登場しない。出てくるのはプロ野球球団を経営した
オーナー、親会社だけだ。しかしその変遷・歴史は非常に興味深い。
球団経営、解散、譲渡、身売り・・球団経営の変遷はかなり激しい。
鉄道会社(東急、西鉄、南海、阪急、近鉄)であったが、その業種の
凋落とともに時代の寵児たちが球団経営に手を出す。
記憶にあるだけでも
・西鉄⇒太平洋、クラウン⇒西武
・大洋⇒DeNA
と親会社が変わっている。最近では通信、IT企業が球団経営に積極的だ。
この本を読むと、こうした親会社の変遷に、政界、政治家、金融界、
経済団体、が密接に絡んでいることがわかる。大げさに言えば
「日本裏経済史」的な内容も多く非常に面白い。
全編を通じて感じるのは、日本プロ野球界の閉鎖的な体質。
既存球団(特に古参球団オーナー会社)の利権を守ることが
第一となって新規参入、競争原理導入の目を潰しているようだ。
この点が、リーグ(100年構想)の全体最適を目指すの
Jリーグとはかなり異なる。(Jリーグでは開幕時の10チーム
(オリジナル10)でも、23年は3チームがJ2で戦っている。)
ようやく、日本プロ野球でもファームリーグに
2チーム(ハヤテ223:静岡、アルビレックス新潟)が
新規参入するが、まだまだその閉鎖性は高い。
大丈夫かプロ野球?。
この本によく出てくるのは、下記のようなパターン。
・不採算部門を抱えていては金融機関から融資が受けられず、止むを得ず手放す。
・累積債務を誰が引き継ぐのか? その返済資金をどうやって調達するか?
・どこか球団を引き受けてくれる企業はないか、大物政治家が財界人に声をかける。
・そこで登場するのが、後に●●事件で有名になった経営者●●。
なかなかドロドロした内容だ。