「発掘テープ 吉村昭の予言」「悔いなき死 鮮やかに生きるための心得」
「34人の見事な死」という特集が読みたくて文藝春秋を買った。
「3.11」後の世界で、あらためて「死」と真摯に向き合い。「生」の意味を
見つめ直す・・・とある。
私が読みたくなった動機も、まさにこのようなものだ。
本誌の中に面白い記事があった。
文春の昭和史対談でおなじみの、半藤一利、保坂正康、戸高一成の面々に
よる対談だ。
日本陸軍の草創期に陸軍大学の教官を務めたドイツの軍人メッケルは、
当時(明治初期)から日本参謀の弱点として、
「現実に立脚しない安易な希望的観測を行う」
「物事を容易にできると妄想する」 といった点を指摘していた。
それから百数十年たっても、日本人は変わっていない。
戦艦大和も原発も「想定外」のことは起きないことになっている。
危機に際してのリーダーシップも官直人と東条英機を比較して、
その駄目っぷりを指摘、野官房長官の会見は「大本営発表」だと決めつける(これは同感)。
福島原発の事故後の対策も「兵力の逐次投入」という戦略の外道、危機管理の禁忌を
堂々と演じている。まるでガダルカナル玉砕戦だ。
古史、戦史に例えて現状を分析するのは面白い。
特に失敗の本質に迫る分析は、興味をそそる。
しかし・・・・・。
福島原発はまだ戦闘中で、それもかなりの苦戦中だ。
今やらなければいけないのは、分析ではなく今後の作戦立案とその実行だ。
面白い記事だったがそこだけ違和感が残った。
デーブ・スぺクター&ダニエル・カールの
「オレたちは日本から逃げない」の記事も面白かった。