3年間にわたるNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」が最終回を迎えた。
司馬遼太郎の原作は、私が浪人生時代に読んで、大きな影響を受けた本だ。
浪人生という、苦しいけれど無限の夢が溢れる時代に、
将来の夢を大きく膨らませてくれた・・・。
- 作者: 司馬遼太郎
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浪人生時代のあの昂揚は何だったのだろう?
今回、ドラマの最終回を見て、やっと理由が分かった気がする。
(以下、渡辺謙のナレーションから)
維新から日露戦争までという30年あまりは、
文化史的にも、精神史の上からでも、日本の長い歴史の上で実に特異である。
これほど楽天的な時代はない。
むろん見方によっては、そうではない。
庶民は重税に喘ぎ、国権はあくまで重く、民権はあくまで軽い。
そのような被害者意識から見れば、これほど暗い時代はないであろう。
しかし、被害者意識のみで見るのが庶民の歴史ではない。
”明治はよかった”という。
「降る雪や 明治は遠く なりにけり」
という中村草田男の澄みきった色彩世界が持つ明治が一方にある。
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この物語は、この日本史上類のない幸福な楽天家たちの物語である。
楽天家たちは、明治という時代人の体質で、前のみ見つめながら歩く。
登って行く坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、
それのみを見つめて坂をの登って行くであろう。